罰ゲーム1
(MEBさんのリクエストによりジャニスが脱がされる?!)
ここは「moth-eaten books」の舞台裏。物語のヒロイン達が優雅にお茶なんぞをしております。
「うわ、美味しいよ、リーナちゃん!」
「ありがとうございます。」
「ん〜 美咲の作ったケーキも美味しいわよ。
しかもあんまり甘くないのがポイントね。……思わず食べ過ぎてしまいそう。」
「大丈夫だよ、ジャニスちゃんスタイルいいもん。」
「美咲さんもいいですよ。」
「そーそー。」
「でも…… ジャニスちゃんやリーナちゃんと比べると、もう少し身長とか、その…… 色んなとことか……」
「……あれ? 美咲ってサイズいくつ?」
「えっとぉ……(ごにょごにょ)……くらい。」
「確かに平均値から比べるとその……ですね。」
「まあ…… 大きさも大事だけど、形とかもあるし……
でも結局は隼人君が気に入るかどうかよね。」
「ふぇ? どうしてここで隼人くんの名前が出てくるの?」
「さぁ…… どうしてです?」
ガク。二人の天然ボケ少女の言葉にジャニスが崩れ落ちる。
「いいわよいいわよ。その内分かるわ……」
(隼人君もヒューイさんも苦労しそうね……)
どっと疲れが来たような感じがして、半ば肩を落としながらティカップに口をつける。
と、
バタン!
荒々しくドアが開かれた。
「大ニュースよ大ニュース! スクープよスクープ!!」
ポニーテールに丸めがね。首からカメラを下げた少女が駆け込んでくる。
「法子さん、いらっしゃい。紅茶はいかがですか?」
「サンキュ。……ふぅ、いつもながらいい腕してるわね。」
「ありがとうございます。」
「あ、もしかしてこのケーキ、サキのお手製? ……いっただきま〜す!」
ってケーキを一切れ食べ終わって、その間に紅茶を一杯お代わりしてからハッ、と我にかえる。
「じゃなくてっ!」
いきなりの法子の変貌に、料理の三鉄人はそろって首をかしげた。
「これを見て!」
と、法子はどこからともなくフリップを取り出す。そこには可愛いイラストで描かれたPCの前に座る人の姿。
「あ、作者さんそっくり。」
「うん、その作者さんが、この前他の管理人たちと麻雀をやったのよ。」
「まーじゃん、ですか?」
知識では知っているが(それこそルールまで)やったことのないリーナが言葉を繰り返す。
「そーよ、麻雀。相手は鯱丸親方にKenkenさんとMEBさん。よ〜く考えるとうちの作者さんの敵が二人もいたのよねぇ……」
「それで?」
法子が黙って次のフリップを見せる。そこには椅子の上で真っ白に燃え尽きた人の姿。
「ふぇ…… どうしちゃったの?」
「そしてその結果、ボロ負けしたのよね。ハコテンまではいかなかったようだけど……」
「ハコテンって?」
「一般的なルールでは27000点から始まるのですが、それを全て失うと『ハコテン』と呼ばれるようです。」
「そーそー、そんな感じ。作者さんも納得いかない結果だったんだけど、負けは負けというわけ。
で、ここからが問題。ルールが脱衣麻雀だったのよ。」
「だついまーじゃんって何?」
「よくゲームセンターとかにあるのですが、負けたほうが一枚一枚服を…… って、えっ?(赤)」
淡々と説明しようとして自分の言っていることに気づいてリーナが顔を赤らめる。
「まあ、それもそんな感じ。で、まさか負けるたびに服を脱いでもネット越しで見えるわけでもないのし、皆が物書きでもあったので、『一番負けた人が一番勝った人のリクエストのキャラを脱がせる』ってことになったのよ。」
『……はい?』
少女三人の声が綺麗にハモる。
各人とも固定ファンのつく(?)人気者だ。そーゆーよこしまな(笑)リクエストの犠牲者になる可能性は十二分にある。
「そいうわけで……」
法子が最後のフリップを取り出す。そこには目の幅涙を流しながら両手を合わせる作者の姿。
「というわけで、作者さんからの伝言『ジャニスすまん。私は旅に出ます。探さないで下さい。』だって。」
「……ええぇっ!!!」
驚愕の声をあげるジャニス。まあ、当然だろう。
「やだやだやだやだやだぁっ!!!」
駄々をこねる少女。まあ、無理もない。
「なんでなんでなんで私なんですか〜!!!」
「MEBさんからのリクエストなのよ。」
「でもでもでもでもでもぉ〜!!!」
「しかたないのよ。そういうルールだったんだから……」
ポン、と肩に手を置き、達観した表情を浮かべる法子。
「う〜 ……私、逃げます!」
ダッと法子の入ってきたドアから出ようとするが、ドアを抜けた瞬間、左右から腕が伸びてきてその腕を掴む。
「え……?」
ズイ、と左右から人影が現れた。
「連行仮面1号、ただいま参上!」
白衣をきて、顔にはお面の男がいかにも楽しそうに言っていた。
「……同じく連行仮面2号。」
対照的になんか呆れたような少女。金髪のポニーテールが頭の後ろで踊っている。
「え? えぇっ?」
すぐにその正体に思い当たり、なんか抵抗が無駄なような気がしてくる。それでも……
「やだーやだー! ジーク助けてぇ〜!!」
「……残念ながら彼はすでに接収済みだ。いくら怪盗フェイクとはいえ、私の手から逃れるのは不可能だよ。」
それが最後通牒だったのか、少女の身体からがっくりと力が抜ける。
「ジークにすら見せたことないのに……」
「安心したまえ。見せる相手は一応彼だけだ。」
「……だからそーゆー問題じゃないですって。」
少女が連行(笑)されると、残された三人がそっと安堵の息をつく。
「いつもながら無敵ねぇ、あの博士。」
「まぁ…… 博士ですから。」
「…………」
「あら? どうしたのサキ?」
「うん…… ボクも結構脱がされてるから、ジャニスちゃんが可愛そうだなぁ、って」
「でもいいじゃないの。少なくても大神君の前だけだし。」
「(真っ赤)」
「そうですね。ジャニスさんもジークさんの前ですから……」
「あら? リーナもヒューイさんの前ならいいの?」
「え? その……(真っ赤)」それはさておき。
ここから本編です〜プシュッ。
小気味良い音とともにホップの香りがする。飲み口から飛び出そうとする泡をすばやく吸い取ると、そのまま中の金色の液体をのどにくぐらせる。
一気に飲み干すと冷たさと爽快感が全身に広がる。一仕事終えた後のシャワー。そしてキンキンに冷えたビール。くぅ〜 このために生きているって親父くさいことを言いかねない。
「ジーク…… お願いだから服をちゃんと着てちょうだい。」
ジャニスのちょっと呆れた声。……といっても別に全裸でいるわけではない。シャワーを浴びて、パジャマの下だけをはき、首からバスタオルをかけているだけだ。
見よ、この肉体美! なんてバカなことをやる気は無いが、実用本位の均整のとれたこの身体は別に見ても汚らわしいようなものではない。ま、これでも慣れたのか(変な意味にとるなよ)ジャニスもこれくらいではキャーキャー言うことは無い。
いつもの小言を聞き流し、もう一つ開ける。きっともう少ししたらジャニスが美味しい夕飯を持ってきてくれるだろう。それを肴に飲むのも良し。
予想通り、見ただけでも食欲が暴走しそうな素晴らしい食卓の風景が目の前に並ぶ。
『いただきま〜す。』
二人同時に言って食事が始まる。
モグ、ムシャ、バリバリバリ、ゴクゴクゴク…… モグ、ムシャ、バリバリバリ、ゴクゴクゴク……
……ん?
ふと気付くとジャニスが俺のことをジーッと見つめている。もてる男は辛いなぁ、なんてベタベタなオチではないだろうが、こちらを見ている。
「どうした?」
「あ、いや。その…… 美味しそうに食べ飲みしてるなぁ、って。」
「そりゃあ、ジャニスの料理が美味いからだよ。」
と言って少女が顔を赤らめるのを見てから、ちょっと違和感を感じだ。えっと……「飲み食い」だって? もしかして……
「……ジャニス。お前、酒飲んだことあるか?」
そう聞くと質問の意図がわからないのか、小さく首を傾げてから首を振る。
「でも料理には酒を使っているよな?」
ワインやブランデーの風味がすることがあるし、ケーキとかも作るからリキュールとかも使っているだろう。まあ、それを飲んでいる、ってことは無いだろうが。
……って、よく考えたらジャニスは未成年じゃないか。普通はあまり飲まないよな。俺みたいな例外、というか…… それこそそんなことを律儀に守っている方が珍しいか。
「どうだ? ジャニスも飲んでみるか?」
「え?」
ちょっと警戒したような視線。先に断っておくが別にやましい気持ちは…… ないぞ。
「う〜ん……」
悩んでるな……
「……変なこと考えてない?」
「考えているかもしれないけど、そういうやり方は嫌いだ。」
「ホントにホント?」
「ああ。」
やっぱり疑わしそうな目。でも好奇心に負けたらしい。
「……じゃあ、少しだけ?」
勝ったぁぁぁぁぁっ!! ……って、何に勝ったんだ俺?
あ、そういえば……
思い出して冷蔵庫を開ける。確か前に買った酒屋でオマケにもらったんだけど、あんまりカクテル系は好きじゃないんで、飲まなかったやつ。
どちらかと言えば甘い奴で、飲みなれてないジャニスでも…… お、このレシピは結構キツいなぁ……
ま、一杯くらいなら大丈夫だろう。
とそう思って俺はそれらを持っていくことにした。それがそのカクテルよりもずっと甘いなんて気付くのはずっと後の話なんだが……「えっとぉ……」
グラスに注がれた液体を前に戸惑うジャニス。
しばらくそうしていたけど、意を決してグラスに口をつけた。
「……どうだ?」
「甘いけど…… なんか苦い。でも飲めなくもない、と思う。」
「まあ、無理するな。別に飲めたからどう、ってことでもないしな。」
「うん……」
チビチビとなめるように飲んでいる。
お、こんなことしていて料理が冷めたら勿体無い。では……
モグ、ムシャ、バリバリバリ、ゴクゴクゴク……
プシュ、ゴクゴクゴク……
ん? 今のは一体……?
「うわ、苦い……」
この時点で危機感を感じておくべきだったのだろう。今更ながらそう思う。
ジャニスが缶ビールを飲む音だった。すでに幾つかあったカクテルの缶はすでに空になっている。
頬を染めて、目がトロンとして、いかにも酔っ払いの様相を見せていた。
「こんなののどこが美味しいのかなぁ……」
ゴクゴクゴクゴク……
あの〜 ジャニスさん、ペースが早いんですけど……
俺がハッと我に返ったのは、ジャニスが一本空けて、次の缶に手をかけたときだった。
「待った!」
「え〜 なにぃ〜?」
返ってきた声が間延びしている。ヤバい、結構末期的症状だ。もしかしてジャニスが酒を飲んだことがないんじゃなくて、周りが飲ませなかったってことか?!
「あ〜 そ〜か、そのままじゃ美味しくないって言いたいのねぇ〜」
いや、言ってません。
「さっすがジーク! そっか、ジークみたいにシャワーを浴びてきてからのほ〜が美味しいって、言うわけだ。」
うんうん、と頬を染めて一人納得するジャニス。
「さっきから暑かったからシャワーもいいよね〜」
呆然としてる間にも事態は進展しているようだ。先に断っておくが、この部屋は暑くも寒くも無い。
ここでジャニスの今日の服装を説明しておく。
白のブラウスに赤のリボンタイ。その上に黒のブレザー? そして同色のスカートに黒のストッキングといういでたちだ。黒でまとめてあり、胸元のタイの赤がワンポイントだ。そういやあ、前に見たアニメでこんな感じの服の女の子がいたな。
ともすれば重くなりそうな色合いだが、そう感じさせないのが着こなし、というところか?
で、なんでこんなことを言い出したかというと…… いきなりジャニスはその上着から脱ぎだしたのだ。
いや、正直なことを言えば俺としては嬉しいかも。でもそういう問題ではない。
そんなことを考えている間にも今度はストッキングに手をかける。椅子に座って膝を立てて片方ずつ足を抜いているので、こう少し視線を下げたらスカートの中が…… いや、その前にストッキングと素肌の白黒のコントラストが……
って、何を考えているんだ俺は?!
「〜♪」
鼻歌を歌いながらご機嫌なジャニスは今度はスカートを支えているサスペンダーを外し始める。右肩。そして左肩。
ストン。
スカートが床に落ちる。ブラウスの丈が長いせいか、まだ下着は見えない。
ってぇ! 止めないと!
「ジャニス!」
「なぁ〜にぃ〜?」
こっちの意志が萎えそうな甘ったるい声、というか酔っぱらいの声が返ってくる。
その間にもシュルと胸元のリボンタイを解く。
赤い紐がハラリとジャニスの指から滑り落ちる……
「お、おい!」
「ふふふ…… ホントは見たいくせに……」
素面ならまず見せないような蠱惑的な笑み。
「無理してるんでしょ?」
ああ…… いつもの可愛いジャニスを返しておくれ……
プチ、プチ……
小さいはずの音がヤケに大きく響く。
一つ、また一つとボタンを外していく。
おおっ、開いた胸元に見えるあの肌よりも白い物は一体?!
あ、いかん。目の前で行われているストリップショウに理性は停止を求めているが、身体がそれについていかない。ああ、男の悲しい性って奴なのか……?
しかも下の方のボタンを外すためにブラウスを引っ張っているので、胸元は更に開き、下を隠すものも今は無い。両方ともバッチリだ!
……いいのか。この状況にどっぷり浸かってしまって。
いや、良くない。一時の快楽に身を堕とすか、それとも先々のことを考えるか。無論後者だ。しかし、あの下着姿はなんとも前者を選びたくなってしまうほどの光景だ。酔っているために指先があまり動かずに上手くボタンを外せないのが尚更誘っているような感じが……
激しい葛藤──それこそ、頭の上で天使と悪魔が言い争っているようなやつだ。しかも天使と悪魔が肩を並べて食い入るように見ているのは俺の気のせいか?──を繰り返している間に、白いブラウスが床に舞い降りる。
至福だ……
運動とかはあまりしていないはずなのだが、余分な肉が何一つついていない優美な曲線。少女のすがすがしさと女の妖艶さを危ういバランスで保っている。
全身がほんのり桜色に染まっている。アルコールのせいであるのは間違いない。ただ、素面だったとしても同じように桜色に肌を染めているだろう。
胸と腰を覆う二つの布が今の衣服の全てだ。
……綺麗だ。
しかしその恍惚とした時間はアッサリ破られる。
「あぁ〜 うまく外せない〜」
まだ酔っ払った声のジャニスが一生懸命、ブラのホックを外そうとしているところだった。
ブラウスのボタンを外すのにも苦労していたから、背中のホックはそれ以上の難易度だろう。
……なんて言ってる場合じゃない!
「ジャニス!」
あまり刺激しないように背後からそっと近づき、腕を押さえる。
これ以上は良い悪いの問題ではない。
半ば予想はしていたが、ジャニスはいきなり暴れ出した。
「離してよジーク! 私は脱ぎたいったら脱ぎたいんだから!」
たまたま何かの偶然で、ブツッという小さな音とともに胸を覆う下着が緩んだように見えた。
見えたんじゃない。実際に緩んだんだ。そんな状況でジタバタと暴れられたら……
お、おおっ!!
はっ! ダメだダメだ。これ以上何かあったらどこかの二度も暴走している某高校生と同じになってしまう!
それ以上肌をさらさないように、腕ごと胸元でジャニスを抱きしめる。
この腕に触れる柔らかい感触は……
あ、しまった。俺もビールを飲んでいたときのままで上半身裸だったんだ。まさに吸い付くような肌の滑らかさが俺の中の獣を呼び起こしそうになる。
いかん。いかんいかんいかんいかんいかんいかん。
絶対にいかん!
今までの最大の忍耐力を俺は発揮していた。蛇の生殺しとはよく言ったものだ。
この状況でよく耐えるよ、俺。自分自身を褒めたい気分だった。
「離してよ離してぇ〜」
俺だって正直いって離してやりたい。そうしたらどうなるか。考えるまでもない。
まぁ、これだけ暴れていたらそろそろアルコールが回ってくる頃合いだと思うが……
「離してよ、はなし……」
クタ。
不意に力を失って、俺の腕の中でグッタリするジャニス。
ふぅ。俺は心の中で額の汗を拭った。
白い肌を視界に入れないようにして、片手で少女を保持しながら首からかけていたバスタオルでジャニスをつつむ。
そのまま目を閉じて、ジャニスを部屋に運び、ベッドに横たえ毛布を上から掛ける。
アレだけ大騒ぎしておきながら安らかな寝顔だ。
おっと、レディの寝顔を眺めているなんて趣味が悪いぞ。
足音も立てずに俺はジャニスの部屋を出た。
そして半ば倉庫となっている自分の部屋からいつものバイザーとマントを用意する。
さて…… なんとなく事情は分かったが、誰が一番の原因か…… ま、アイツを締め上げれば分かるか……
「さて、」
一言呟くと俺は夜の街へと飛び出した。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「……ん。」
目が覚める。
何か妙な目覚めだ。寝る前の記憶が全然無い。
「えっとぉ……」
ジークが仕事から戻ってきて、夕飯を食べて……
体を起こそうとして、妙に身体が涼しいことに気付く。
「キャッ。」
え? なんでなんでなんでなんで?
なんで私裸で寝てるの?!
慌てて毛布を引き上げて身体を隠す。見ている人はいないけど、だからといって出してもいいものではない。
「う〜〜〜〜」
見られているわけでもないけど、恥ずかしくなって唸ってしまう。
と、自分の状態を再確認。
下着はかろうじてつけているけど、上はホックが外れているから着ていないも同然。
……あれ? バスタオル……?
これは確かジークが使っていたはず……?
少しずつ思い出してきた。確か夕食時にジークが用意したお酒をちょっと味見して…… それからの記憶がハッキリしない。
もしかして……
自分の考えにサッと青ざめる。
ジークが、私を、酔い潰して……
ううん。思わず湧いた考えに頭を振る。ジークはそういう人じゃない。絶対……
考えがまとまらないので、怖いけどジークに昨日のことを聞いてみよう。もし誤魔化すようなことを言ったら……
怖くなりそうな考えを振り払って、着替えを――というか服を着てリビングに向かう。
昨日の夕飯が食べかけたまま残っていた。ジークの飲んでいたビールの缶と(おそらく)私の飲んだカクテルの缶。
床には昨日着ていた服が…… やっぱりここで……?
「ジーク!」
室内は静まり返っている。人の気配はない。
もしかして…… ほんとにその…… いけない、ことをして、いたたまれなくなって……
「ジークっ!!」
「ん……?」
ソファの影で何かが蠢く音。恐る恐る覗き込んでみると……
何故か怪盗フェイクが倒れていた。
「……なにやってるの?」
「ああ、わりぃ…… 昨日は全然寝てないんだ。後で詳しいことを話すから今は寝かせてくれ……」
それだけを言うと、バッタリ床でそのままの格好で眠りだしてしまう。
やっぱり訳が分からない。
「…………」
今すぐにでも問い質したいところだけど、昨日は仕事をした後で、しかも更に真夜中にも一睡もせずに何かしていたようだ。部屋から毛布を持ってきて、床で寝ているフェイクにかける。
落ちていた服を部屋に戻して…… まずは片づけかな?
TVをつけ、空いた缶をゴミ箱へ。中身が残っているは捨ててこれもゴミ箱行き。後は冷蔵庫に戻して…… うん、あの様子だと、別に何かあったわけじゃ無さそう。
やっぱり…… パートナーは信用しないとね。
さ、お片づけお片づけ♪『……今朝未明、自称作家の財油雷矢さんが自宅で血塗れになっているのが発見されました。昨晩何物かが侵入して襲われたと警察では見ております。ただ、目撃情報や現場の状況からプロの仕業ではとの見方もあります。
番組からのお願いです。今朝ほどからMEBさんが行方不明となっております。お心当たりの方はご覧の放送局または近くの警察にご連絡下さい。
それでは次のニュースです。予告状を出していた怪盗フェイクが……』……これでよろしいでしょうか(汗)
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