AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する

美咲&隼人ラブラブSS 始めての……

「ん……?」
 ガチャリと研究所の玄関に入った隼人。
 しかし中からは全く人の気配が無い。緊急のために合鍵を持ってはいるが、それは使っていない。
「……無用心だな。」
 ひとしきり感想を述べると、自分の家のようにずかずか上がっていく。
 人の気配のしない可能性に一つばかり心当たりがあるが、その心当たり──美咲がわざわざ気配を消しているとも考えづらい。
 リビングに入り、ソファに腰掛けようとして、その「異物」に気づく。
「おっと……」
 ソファの上では美咲が安らかな寝息を立てていた。危うく、尻の下敷きにするところだった。
「……無用心だな。」
 もう一度、別な意味で感想を述べる。
 確かに眠っているのなら、気配を掴むのは難しい。ただですら掴みづらい相手ならなおさらだ。
「しかし……」
 隼人が入ってきたのに目覚める気配もない。
 安らかに──それこそ全くの無防備で──寝顔を見せている。
 ふと思い出して、玄関に美咲の靴しかなかったような気がした。
 人の気配が無い→しかも靴も無い→この家に二人っきり→しかも無防備
 これだけのことが一瞬で隼人の頭をよぎった。
 隼人とて健全な男の子だ。更に美咲に対し特別な感情を抱いているか? と聞かれると強く否定しきれない部分もある。
 気づくとひざまずいて少女の寝顔に見入っていた。
(見てて飽きないな……)
 何かいい夢でも見ているのだろうか、柔らかな笑みを浮かべる少女の寝顔をずっと見つづけていたいという欲求が隼人の中に湧き出す。それと同時にその寝顔を他の男には見せたくないという感情も。
「ん、うん……」
 小さな吐息が漏れる。少し寝返りをして、寝顔を見ていた隼人の真正面を向く。
 ドクン!
 心臓が一つ大きく跳ね上がった。それから早鐘のように鳴りつづける。
「吐息」を聞いたために、その発生源──口元に意識が行ってしまう。
 淡い桜色をした唇。柔らかそうな唇。
 自分を抑えきれずに徐々に顔を近づけていく。
 3センチ…… 2センチ…… 1センチ…… 8ミリ…… 4ミリ…… 2ミリ……
 まさに無限と思える距離を狭めていく。眠り姫は目覚る様子が無い。
 そして触れた。
 秒針が半周するほどそうしていただろうか? 唇にわずかに美咲が身じろぎするような感覚がした。そこで不意に正気に返って、慌てて隼人が離れる。
(俺は…… 一体何を……)
 視線を美咲に戻す。一瞬目が醒めかけたようだが、また眠ってしまったらしい。また寝返りをうって隼人に背中を向ける。
 ほっ、と心の中で胸を撫で下ろす。
(気づいて…… ないかな?)
 さすがに今となって後悔してしまう。行為自体よりも、女の子が眠った隙にやってしまったことが卑怯に思えてきたからだ。
 でもどうすることもできず、しかも手持ちぶたさになって、美咲の寝ていたソファの端の方に腰掛ける。しばらくそうやっていたが、玄関の方からドアが開く音、それに続いて三人分の会話が聞こえた。
「いやいや、すみませんねぇ。つきあわせて。」
「いいえ、構いませんわ。時間は空いてましたし。」
「橘さん、一人で退屈してなければいいのですが……」
「ん? 大丈夫みたいよ。隼人も来ているみたいだし。」
 ガバッ。
「あ、みんなお帰り〜」
 さっきまで寝ていたはずの美咲が擬音付きで身体を起こした。そのままパタンと倒れる、なんてことをしないところを見ると寝ぼけた上の所業ではないらしい。先ほどの(隼人にとって、本人も気づいていたら)衝撃的な出来事の影響を微塵も見せずに出迎えようとパタパタ走っていく。
 と、その途中で足を止め、隼人の所に戻ってくる。
 何故か顔を伏せているので、その表情は分からない。
「どうした?」
「ねえ、隼人くん……」
 囁くような声に隼人は違和感と同時に嫌なものを感じた。
「ちゃんと…… 責任とってよね。」
「責任?」
 そこで、美咲が耳まで真っ赤になっていること気づく。
「ボク…… 初めてだったんだよ。」
「…………」
 少女の言葉に気づいて、隼人の顔にも朱が走る。美咲はそれこそ湯気が出そうなくらいに赤くなっていた。
「でも隼人くんだから…… 許してあげる。だから……
 だから今度は…… 起きている時に…… してね。」
「橘。」
「うん?」
 いきなり真剣な声に呼ばれて顔を上げた。隼人は少女のあごに手をかけ、わずかに上を向かせる。
 思わず突き飛ばしそうになるが、少年の手が、いやそれこそ全身が緊張により細かく震えているのに気付いて、そっと目を閉じた。
 逆の手を肩にかけ、そっと引き寄せる。
 唇を重ねると、さっきまでの震えが嘘のようにおさまり、触れあったところから何か温かいものが伝わってきた。
 顎に掛けていた手を少女の後頭部に回し、軽く押さえる。美咲も小さな手を隼人の背中に回し、ギュッと抱きつく。
 永遠とも刹那とも分からぬ時間が経ち、ゆっくりと二人が離れた。
 美咲は顔を赤くして、ふにゃ〜と力が抜けたように隼人にもたれかかる。
 一方の隼人は、もたれかかる少女を優しく抱き留め、頭をなでる。
 お互いの鼓動の感じるくらいの抱擁。もう言葉は要らなかった。
 この時間が永遠に続けばいいと思った。

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 一応オチつける。

(ちょっと……! いつまでやってるのよ、あの二人!)
(でもこうやって覗き見しているのも何か悪い気が……)
(まあ、そうだけど……)
(いやいや、困りましたねぇ……)
(小鳥遊博士、本当に困ってます?)
(はぁ…… それにしてもどうしたらいいのかしら?)
 入るに入れない三人がいることに気付くのはいつのことか……

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 先に断っておきますが、美咲と隼人の「始めて」はこーゆーシチュエーションでは無いです、はい。